実際の場面で「できる」ことを増やす学習デザイン

日時: 2016年11月7日(月)

会場: 国際交流基金マドリード日本文化センター

講師: 藤長かおる先生(国際交流基金日本語国際センター) 

今回の研修会は、「まるごと中級」を開発された先生に直接お話を聞くまたとない機会だったと思います。藤長先生のお話、参加者間のディスカッションなどを通して、「まるごと中級」がより身近に感じられ、またより効果的に使えそうな気もちになりました。

セミナーは、まず、B1レベルがまだまだ限りはあるが、日常的なコミュニケーションであればたいていのことが行えるレベルであることを確認しました。そして、このレベルの学習者が直面する具体的な場面設定→その場面での課題遂行設定→言語項目の決定や練習の種類・順番の決定、という順序で教科書がデザインされたこと、デザインに当たって重視した点(できるだけオーセンティックな素材の使用、わからないことがあっても気にしない態度の養成など)を語っていただきました。

その後のグループワークでは、各グループが「まるごと中級」のトピック6の1パートを分析して、そのポイントを発表。その後、全体でディスカッションが行われました。ディスカッションでは、「まるごと」以外の教科書を使ってきた学習者にときどき見られる「全部わからないと気がすまない」学習者をどうフォローするか、また中級では、初級で扱った学習項目も含め整理しながら学習を進めるとより効果的であるということなど、興味深い内容が議論されました。

最後に、先生から、教科書をそのまま使うのではなく、パートの順番を変えたり、内容を取捨選択したり、強弱をつけたり、学習時間を調整したりするのも可能だとのコメントがあり、教える側の「自律」、「自由度」が再確認されました。

馬場かえ(バレンシア)