パンプローナ巡回セミナー報告記事 2020年2月報告

パンプローナ巡回セミナー
2020年2月29日(土)午前10時から午後14時まで
会場:CIVIVOX JUS LA ROCHA
講師:JFMD日本語教育アドバイザー 篠崎摂子先生
主催:国際交流基金マドリード文化センター

第7回目となるパンプローナセミナーはトゥデラ、サラゴサ、ビルバオの遠方からいらした先生方を含む計7名が集い、「中級を教える」をテーマに篠崎先生からご指導を受けました。

開始直後から授業の過程で出てくる悩みや疑問を具体的な例を挙げ先生に聞いて頂きました。初級から中級への移行・個人授業でのマンツーマン対話・文法解説やイントネーション、敬語、教科書や参考書選びなど様々な質問が飛び交いました。
中級の指導内容や教え方など、これまでの日本語教育と比較し、インプットからアウトプットへの流れを確認しながらその都度出てくる疑問に丁寧に篠崎先生がご回答してくださったのですが、その中でもなるほどと頷いたのが「余分な説明をしない・させない」というお言葉でした。篠崎先生は文法に囚われてしまう生徒で頭を悩ませていた私にボトムアップ形式ではなく様々な場面や背景を踏まえその文法を含んだ自然な日本語をいくつも紹介してあげるようにと助言してくださいました。

教師側の頭をしっかりきりかえトップダウンが軸となるよう中級指導に当たらければならないと強く感じました。また、敬語も言語形式を際立たせるより、学習者自身がその場面に出会い、敬語が必要であると自覚した後に学ぶことにより理解も深まり身についていく。そして、乱暴に聞こえる言葉使いが口に出る生徒には教師自身が基準となって話相手に与える印象などを背景を交え一緒に考えていくなど、クラスというのは個々の先生方の持ち味が現れる場でもあるというお話も印象に残りました。しかし、 そういった場面練習にちょうどよい生教材というのは作成に費やす時間が増えてしまい、お忙しい先生方の間では困難もみられるようです。

今回授業に役立ちそうなロールプレータスクの本やみんなの教材サイトのご紹介もあり、これらを授業に盛り込むことで少しでも生徒たちのコミュ二ケーション能力が高められればと期待しています。

セミナー終了後は篠崎先生を囲み、皆さんが楽しみにしていた昼食会。美味しいラーメンをすすりながらセミナーの延長ともいえる文法に関する質問があったり、大きなお子さん、小さなお子さんを持つママが多かったため幼児教育・継承語にまつわる色々な情報交換があったりしました。また、幼児年少日本語教育に携わり子供たちの日本語教育に熱心に取り組まれている先生や、16歳まで日本で育ちその後スペインへ渡ってこられた先生もいらっしゃり、彼女たちの経験談や実践、目的を聞いていくうちに、これまで以上にその分野へ関心が深まっていくようでした。

このような充実した、集いの場で皆さんと交流できたことを本当にうれしく思います。

篠崎先生、オーガナイズ頂いた啓子先生、お集まりいただいた先生方、本当にありがとうございました!
(パンプローナ 松川仁美)