アンダルシア巡回セミナー「中級レベルの指導」
5月21日(日)
場所:グラナダのResidencia Universitaria Corrala de Santiago
講師:近藤裕美子先生
まず中級(B1)レベルの目標を理解しようと参加者もタスクに取り組み、「身近な話題や関心のあることについては大抵のことに対処し、説明し、考えを述べて、その理由を挙げることができるようになることである」と確認しました。そして、まだ足りない部分はすでに持っている「知識や経験」で対応する「ストラテジー」によって補う必要があり、学習者にこれを意識させることが重要だと学びました。
次に、さまざまな中級教科書の内容・構成を出版年とともに比較しました。最近のものは、実際の生活の場で出会う具体的なトピックごとになっており、最初にイラストや写真によって場面を想像させながら大量のインプット(読む・聞く)をして、学習者自身にコンテクストを捉えさせようとするものだとわかりました。
初級では文法・語彙・漢字を「知識」として増やすだけでも上達していたものが、中級以降ではなかなか成果が感じられず、モチベーションが下がりがちです。学習者自身が「今現在、何ができ、できないか」を知り、学習後は「何ができるようになったか」と自己評価をすることにより成果を「見える」形にして、自分がこれから何をすべきかを知る。中級の学習ではこうした主体的な取り組みが必要であり、教師はその手助けができれば、と思いました。さらに、日本語とスペイン語の言い回しの違いなども取り上げられ、「生きた日本語」を扱う中級では、「日本語独特の世界を味わうことができる」という近藤先生の言葉が印象に残りました。
私たちが教える語学学校では来期から中級クラスが開講するのですが、経験もなく手探りの状態で途方に暮れていました。このセミナーに参加することにより少し方向性が見え、また中級レベルの課題を意識することによって、初級の段階からもできることに気づくことができ、初級の指導法を見直すいい機会ともなりました。いつも興味深いテーマをわかりやすく、楽しく教えてくださる近藤先生に感謝しています。
(横尾順子・塩見千加子)