一場面

第三回スペイン日本語劇コンクールに参加して

日時: 2018年6月22日(金曜日)17:00-20:00
場所: Centro Universitario Salesiano CES Don Bosco Auditórium
C/María auxiliadora 9 (Francos Rodriguez Metro Linea 7)
主催: スペイン日本語教師会(APJE)、国際交流基金マドリード日本文化センター、
在スペイン日本国大使館
テーマ: 「となりの~」(~には、劇に合った自由でオリジナルの言葉を入れる)

 

6月22日、マドリードで開催されたスペイン日本語劇コンクールに審査員として参加させていただきました。日本語劇を学習者が演じるのは数回鑑賞しましたがこのコンクールは本当に一味も二味も違っていました。「日本語で劇を」と聞いた時一体どんな劇を選んで演じるのかとまず思いました。ところが、このコンクールでは課題をもらって自分たちで脚本を作成するというのです。プログラムが届いたときには、タイトルとイントロを見て、すでにワクワクしてしまいました。実際に観劇したときはもう感動の連続でした。「となりの〜」というテーマから創作された劇は普段の部屋から勉強の場、電車の中、森の中と多種多様。サムライやタイムマシンまで飛び出して時代を超えてスペインや日本を駆け抜けます。自分たちの周り、日本の文化や習慣ををよく観察し探求して創造力豊かな劇が仕上がっていました。プロットも環境問題、異文化理解、地域社会に目を向け、最後のオチ、どんでん返しもあっと言わせる工夫がされていました。衣装から大道具、小道具にもこっていて、自然と笑みがこぼれてしまいます。ホラーなのかコメディなのかわからない場面もありましたが、涙が出るほど笑ってしまいました。
演技力もなかなかで、身振り手振りはもとより、顔の表情から目の動きにまで細心の注意を払って、ピカッと光るものを感じさせてくれました。また、出演チームのメンバーは日本語が上手な学生ばかりで編成されているわけではなく、メンバーがお互いに助け合い、補い合って一つの劇に取り組んでいるのです。
「みんなに満点あげたい」では審査にならないのですが、まさに審査員泣かせ、上位チームは紙一重の差しかない厳しいコンクールでした。
日本語学習がこのような形で実現されるのは素晴らしいことです。この決勝の日までの学生さんたちと指導された先生がたの練習と努力は並大抵ではなかった事でしょう。日本語学習は単に語学力のスキルの向上だけではないのです。このコンクールは日本語学習は楽しく、面白く、そして多くの発見と笑いと驚きに満ち溢れているということを如実に示していました。参加した学生さんたちはこれからも日本語と関わって数多くの感動を繋いでいってくれることでしょう。
スペインだけでなく、このコンクールがヨーロッパから世界へと広がっていってほしいなあと思いました。鈴木裕子実行委員長をはじめ実行委員の皆様、スペイン全土から集まって大会を支えた先生方、応援団の学生さんたち、本当にありがとうございました。

英国、元オックスフォード・ブルックス大学  穴井宰子

懇親会