ラスパルマス巡回セミナー 2019年3月報告

ラスパルマス巡回セミナー
2019年3月17日(日)午前11時から午後14時まで
会場:ラスパルマス日本語学校
講師:JFMD日本語教育アドバイザー・篠崎摂子先生
主催:国際交流基金マドリード文化センター

 

カナリア諸島はスペイン本土からも遠く、島々の交流の為に渡島しなければならないので、日本語学習者を集める事がとても困難です。日本語を真剣に勉強する者と趣味の一環として授業を受けに来る者を分けて授業する事が出来ません。そして、グループで授業をする場合は時間の経過と共にその差が明確に現れてしまい、グループ維持が困難になってしまう事が悩みの種でした。

 

そして、その悩みの種の中に「最初が肝心」というテーマが常にありました。日本語学習は初期につっかえてしまうと、そこから進む事が困難になってしまいます。その為、「日本語初級」をテーマに今回のセミナーを実施して頂きました。

 

「日本語初級」の中でも、①「初級はどんなレベルだと思いますか?」➁「これまでにどんな初級教材を使ったことがありますか」➂「初級を教えるときに大切なこと/難しいことは何ですか?」をテーマに参加者全員で話し合いをしました。

 

やはり、学習者の特徴は「将来の為/趣味の為」「漢字を中心に勉強したい/会話さえできれば良い」「能力試験の合格を目標に勉強したい/日本へこの夏に行くから教えてほしい」など大まかに分ける事は出来ますが、実際、対面で授業を開始する場合は千差万別で、「ひらがなから始めないといけない」という固定観念を、「まるごと 日本のことばと文化 入門A1」に覆され、日本語を教えるにあたって、教育者こそ学習者よりもっと柔らかい頭をもたなければならないと考えさせられました。

 

ワークショップでは日本語能力試験N5とN4の抜粋問題をしました。参加者はランサロテ島から来た先生、40年以上日本語教育に携わっている先生、個人授業をしている先生、子供が日本人で日本語教育に興味を持っている方や、カナリア人で日本語学習をしている方など、様々な理由で参加し、能力試験の説明の為の答え合わせの時には、間違っていないかどうか、恐る恐る答えている様子に笑いながら、楽しい雰囲気の中、進行していきました。

 

最後にカナリア諸島はスペイン本土から遠く、本土で日本語能力試験や日本文化など、多く開催される行事などを遠い場所で行われているという認識があるので、このセミナーを通じて距離がぐっと近くなったように感じました。そして、篠崎先生の分かりやすい説明のお陰で4時間がとても短く感じました。はるばる、本当にありがとうございました。

齋藤仁