2019年春APJE定例研修会
2019年5月12日(日)午前10時30分から午後2時まで
会場:CNLagasca
講師:篠崎摂子先生(JF日本語教育アドバイザー)
主催:APJE
テーマ:「日本語教科書で扱われる日本文化」
カラッと晴れた五月晴れの空に呼応した素晴らしい笑顔の集団APJE。鈴木先生,益子先生,加藤先生等々久しぶりの研修会参加を快く受け入れていただき心から御礼申し上げます。マドリードで最後に研修を受けたのは,「まるごと」が出始めた頃でパイロットレッスンを視察し,その教材研究及び教材に即した教授法研究だったように記憶しています。
その当時は,ネット上で簡単に入手できる近年とは異なり「まるごと」が一般市場で販売されておらず,私が直に手にしたのは随分と後になってからでした。教材が多様化しているなか,今回のテーマ「日本語教科書で扱われる日本文化」,言うなれば,教材に隠された(意識して隠されているのかもしれませんが)日本文化に対する学習者の気付きと教師によるそれら情報のハンドリングについて,改めて考えてみるというもの。これは,当然に教師本人の個性が生かされる部分であり,また気の抜けない部分。一人一人が持つ考え方,見てきたもの,感じてきたものをベースに,一端咀嚼して学習者の質問に答える等教室活動が行われることを考えると,現実にクラスを持たない私には到底完遂できないのではないかと頭を抱えてしまいます。
そんな中,講師JFMDの日本語教育アドバイザーの篠崎摂子先生からの、巧みなテーマに沿った思考誘導から、教材研究をキチンとされてポイントを決して外すことのない先生方は,学習者が自国の文化との比較から疑問に思うこと、違和感を感じること等気付きから生じるもの等をより具体化し、そこに潜む特有の日本文化を拾い上げていました。それぞれの日々の教室活動がそうであるのでしょう、真正面から向き合い楽しく格闘されている姿をうかがい知ることができました。また、これら社会生活・習慣、四季折々に行われる郷土色の濃い祭りなどの緒行事の解説や、平安初期に生まれたカタカナ及び女文字として使われた平仮名(公的な文字はカタカナ。文字にもジェンダーが潜んでいる)など文字の成り立ち変遷などの教授に至っては日頃から十分な準備が必要なのだと思います。日々精進されている先生方に敬意を表します。
今回は、在勤地であるベルギーから(と言っても直行便であれば2時間半)、日曜日その日に帰りつくための直行便に空席がなく、結局往復ともにリスボン経由となりました。マドリードには19時間程度の滞在でしたので、ゆっくり時間をかけての皆さんとの意見交換ができずに残念でした。しかし、冒頭に申し上げたとおり、お元気な先生方にお目にかかることができ、とても素晴らしい時間を過ごすことができました。また、機会を見つけて参戦させていただきたいと思います。深謝。
五十嵐晃拝