2020年春APJE定例研修会 報告

2020年春APJE定例研修会 報告
日時:2020年4月19日(日)午前10時30分から午後14時まで
会場:オンライン
講師:藤光由子先生(国際交流基金ロンドン日本文化センター)
主催:APJE
テーマ:「参加し、表現する学び~アクティビティのデザインを考える」


4月19日日曜日、国際交流基金ロンドン日本文化センターの藤光由子先生をお迎えして、参加者42名で、APJE第29回定例研修会が行われました。


今回は初めてのオンライン定例研修会ということもあり、参加者の技術的心配に対応するため、APJE役員の方々が、前日、ZOOM接続練習時間まで設けてくださるという至れり尽くせりの設定でした。しかしながら、皆様既にコロナウイルス下、過酷な状況に揉まれ、こういったオンライン対応にすっかり順応されていらしたらしく、テストルームを訪れた方は皆無だったというのは、後日談です。
それでいて、当日、想定外の接続問題が起きた方もいらしたということで、げに恐ろしきはインターネットというところでしょうか。


定例会の内容に関しては、藤光先生が、アクティブラーニングの概念に基づいて、日本語教師は「学びの演出家」であり、学びというものが、共同的で互恵的で、まずなによりワクワクするものであるという前提を示されました。
それが具体的には、様々なアクティビティという形をとり、学生がアクティビティに参加していくことで、主体性をもった自律的な学びへとつなげていくことが意図されるというご説明でした。それと同時に、ワクワクする場を作る教師の資質についても、いくつかの提言をいただきました。


今回は、「参加し、表現する学び」という表題通り、参加者も学習者としてグループに分かれて、5つの異なったアクティビティに参加しました。アクティビティそのものが文句なしに面白かっただけではなく、それぞれのアクティビティに参加していくうちに、グループの関係性の熱変化や、「参加表現し合いながら学び合う」という実感ができたと思います。
特にこの活動に関しては、ZOOMのブレイクアウトルーム使用が非常に効果的であったと思われます。
セキュリティの問題に関して、最近色々言われているZOOMですが、この機能は各々の自主性を開放する場として、本当に素晴らしいと思わざるを得ません。


今回は、オンラインで行えるアクティビティという方向に絞ったため、そのやり方に関して、色々と参加者に考えさせることができたと思います。
実際、研修会中のみならず、研修会後にも、行われたアクティビティのオンライン上の使い方について、興味ぶかい意見が散見されました。
こういったことは、ふだんの教室活動でも、無論、意識されていた部分だとは思いますが、今回のように、オンライン授業に限られる状況に陥ったことで、全員に、今許された状況でいかにして学びを行うかといった問いを投げかけるものになったような気がしました。


今回の研修会を要約するものとして、藤光先生がおっしゃったあるフレーズを、送らせていただきます。


「アクティビティを試してみた際に、それが失敗だったとか成功だったとか、決めつけないこと。大事なことは、ありのままをうけいれること。大きなデザインを決めておくが、こだわりすぎず、心の間をもって対応した方が、自分も楽だし、生徒もゆったりできる。」


講師の藤光先生、そして、板倉会長をはじめ、裏方を支えてくださったAPJE役員の皆さまの素晴らしいチームワークで、今回の研修会が行われましたことに感謝の念をもって、締めくくりとさせていただきます。
かくいう私もそうですが、遠隔地に居住していて、普段の定例研修会に参加することが難しい日本語教師も参加できたという意味で、今回のオンライン定例研修会は、教師会の新たなる可能性の一歩となったものと思います。


本当にありがとうございました。


鈴木啓子(イルーニャ:パンプローナ)

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4月19日日曜日、第29回APJE定例研修会がZoomを使ったオンライン方式で開催されました。講師は国際交流基金ロンドン日本文化センターの藤光由子先生、テーマは「参加し、表現する学び~アクティビティのデザインを考える」でした。
講師の藤光由子先生から「アクティビティを駆使して学びを演出するための教師の知恵と役割について語り合いたい」と事前メッセージがあり、研修会当日、「教師の役割は学びの演出家である」、学びの演出家の仕事の「一つは、学び合う場、探求する場を整える仕事、二つ目は、学びそのものを促進する仕事である」という考え方が紹介されました。さらに、数多くのアクティビティを通して参加し表現しながら学び合うということを楽しく体験しました。

アクティビティの種類は三つ、「出会いと交流を楽しむアクティビティ」、「集中と協力を楽しむアクティビティ」、「躍動と創造を楽しむアクティビティ」。どの分類にも「楽しむ」という言葉が入っているのが印象的でした。

初めのアクティビティはグループワークで「名前について話しましょう」。私のグループではロペスさんはラテン語由来で「狼の息子」という意味、水無子さんは「6月生まれの意味ではなくジューンブライドの幸せ」が名前に込められているなどと分かって盛り上がりました。

ウォーミングアップ実験室では演劇的手法が取り入れられた、鏡、負けじゃんけん、たけのこニョッキ、ホットシーティング「私はだれでしょう」、インスタント物語、ジェスチャー・ゲームなどのアクティビティを体験しました。個人的にはゲームは得意ではなく、間違ったり時間が足りなかったりしましたが、楽しめました。

事前課題だったブックレビューは「ビブリオバトル」 http://www.bibliobattle.jp/ という活動をオンライン用に簡略化したもので日本語クラスでも使えそうです。

オンライン授業の遂行にあたり新しいアプリケーションの習得に頭を悩ましていましたが、紙とサインペンだけでもいろいろなオンライン・アクテイビティが実施できることも参考になりました。

今回の研修会で「学生たちが日本語を使って言いたいことが言えるために、したい場でしたいコミュニケーションができるようになるためにアクティビティをどのように活用できるか、教師としてどんな学びの場を演出したいのか」を考える必要性を実感しました。

今年は新型コロナの影響で3月13日に教育機関が閉鎖され、私が担当していた日本語クラスも、準備も経験もないまま、遠隔授業に突入しました。APJEの役員の皆さんには3月からのオンライン授業サポート講座で本当にお世話になりました。

4月19日はまだ外出制限中で自宅に籠もって遠隔授業のやり方を模索している状況でしたから、Zoomの画面で藤光由子先生をはじめサポート講座でおなじみになったAPJEの役員の皆さん、スペイン各地の先生方とつながり協働できて心強く嬉しかったです。ありがとうございました。

井本晶子(バルセロナ )