第7回APJEシンポジウム
会期:2023年6月16日(金)、17日(土)
会場:カスティーリャ・ラ・マンチャ大学(クエンカ校舎)、セミナリオ
テーマ:「ポストコロナの日本語教育リソースについて考える」
基調講演&ワークショップ講師:
李在鎬氏(早稲田大学大学院 日本語教育研究科)
主催:スペイン日本語教師会、国際交流基金マドリード日本文化センター
参加者数:24名
2023年6月16日〜17日と二日間にわたって、中世の面影を残す美しいクエンカの街で第7回スペイン日本語教師会シンポジウムが開催されました。2019年のアリカンテでのシンポジウム以来の対面開催となり、「ポストコロナの日本語教育リソースについて考える」というまさに、ポストコロナの転機を迎えた現在にふさわしいテーマを扱ったシンポジウムとなりました。
第一日目はカスティーリャ・ラ・マンチャ大学クエンカ校舎で開会式が行われ、その後、早稲田大学大学院日本語教育研究科の李在鎬先生を講師にお迎えし「人工知能時代の言語能力評価を考える」というテーマで基調講演とワークショップが行われました。コロナ禍は日本語教育の現場にも大きな影響を与え、オンラインツールの使用やオンライン授業が余儀なくされました。こうした新しいテクノロジーの出現、デジタルな教育リソースとどう付き合っていくか、また今年は人工知能時代の到来(AI元年)と呼ばれる中、言語教育の目標をどのように定め、対面の言語教育をどう位置付けるかなど、今の時代に相応するテーマが取り上げられました。また事前課題として機械翻訳についてどう考えるか、どのように評価するかについて考え、ワークショップでは作文を3つ読み、それぞれの良い点と悪い点についてグループで話し合いました。最後の結論として「人間中心の教育」が人間のための教育には必要なのだということが印象に残りました。
基調講演の後、旧市街にあるセミナリオへ移動して懇親会が行われました。スペイン国内に限らず、日本からの参加者や初めてAPJEのシンポジウムに参加された方々とも情報交換を通して、深い交流の場を得ることができました。
二日目は、前夜懇親会が行われたセミナリオの中6階にある豪著なタペストリーに囲まれた部屋で、口頭発表とポスター発表がありました。今回は一つの教室のみで行われたので、参加者は午前の部も午後の部も全員の発表を聞くことができました。それぞれの先生方がコロナ期において実践された授業報告、協働学習、教材開発などについての発表をされました。コロナ禍により日本語学習者の教育環境が大きな変化をもたらし、急激なデジタル化が進む中、それぞれの先生方が色々な試行をされ、日頃熱心に研究されていることを知り、大変興味深く拝聴させていただきました。
閉会式の後、クエンカ旧市街ツアーがありました。現地のユーモアたっぷりのガイドさんと坂の多いクエンカの街を散策しながら、世界遺産である素晴らしい街を満喫することができました。あっという間の二日間でしたが、天候にも恵まれ、アットホームな雰囲気のシンポジウムで、とても楽しい時間を過ごすことができました。最後になりましたが、今回のシンポジウム開催にあたり、準備をしてくださった実行委員の皆様、多くの方々に心より感謝いたします。
大和田道子(マドリード)