第37回 APJE 定例研修会 報告

2024年春APJE定例研修会 報告

2024年4月14日(日)午前10時30分~14時00分 
会場:オンライン
講師:藤本かおる先生 (武蔵野大学グローバル学部日本語コミュニケーション学科)
テーマ:「個人の経験を集合知にして生かす授業へのICT活用」
主催:APJE
参加者数:37名

2024年04月14日(日)第37回APJE定例研修会参加レポート

今回は日本から武蔵野大学グローバル学部の藤本かおる先生をお呼びし、『個人の経験を集合知にして生かす授業へのICT活用』というテーマでご講演いただきました。
先生の著書である『教室へのICT活用入門』を以前から興味深く拝読していたため、この日を大変楽しみにておりました。
完全なオンライン形式で、スペインやポルトガル、日本をはじめとする各国から計37名の参加者が集まり、終始にぎわった研修会となりました。

コロナ禍では急なオンライン化を余儀なくされ、対面で行っていたことをいかにオンラインに適応できるか頭を悩ませておりました。新しい情報や技術を消化しながら、毎日を乗り越えることで精一杯になっていた日々も、すでに数年前のこととなりましたが、まだ記憶に新しいです。

今回の研修会は、そんな大変だった怒涛の「変革期」を改めて振り返り、ICTをどう活用したら効果的かを考える絶好の機会となりました。
研修会は2部構成で、前半は先生からのレクチャー、後半はグループでのワークショップでした。

前半のレクチャーでは、「オンライン授業で見えたこと」と題して、オンライン授業が得意とすることや苦手とすることを、ID(インストラクショナルデザイン)の視点を取り入れながら、詳しく分かりやすく説明してくださいました。
オンライン化にあたってすべきことや注意すべきこと、ICT利用の効果の高め方、これからのICT活用についてなど、実践に役立つ一連の理論を幅広く取り上げてくださったことがとても印象的でした。
ボーナスとして、先生おすすめのツールや、授業での具体的な活用方法もご紹介いただきました。そこから、教室内での学びを「やりっぱなしにしない工夫」や、自律学習を高めるためのヒントをたくさんいただきました。

ご講義も終わりに近づいたころ、「改めて自分の授業にどうICTを取り入れるか」という問いかけがありました。学習者や学習環境を思い浮かべながら、「より効果的な学び」について個々の実践に落とし込んで考えるのはとても実用的で、おもしろかったです。

最後に、最近話題となっている生成AIの仕組みや教育への影響について取り上げてくださいました。教師や学習者としてそれとどう付き合って行くかについてもお話しいただき、大変勉強になりました。

後半のワークショップでは、3-4名のブレイクアウトルームに分かれて、グループワークを行いました。タスクは「ICTを活用した授業案を考える」です。
話し合ったことはPadletに記録しました。それぞれのグループが話していたことを知ることができ、研修中も研修後もとても参考になりました。

グループワークは2回ありました。
1回目は、グループごとに次のいずれかを選んで、話し合いをしました。
・「現在受け持っている授業にICTを取り入れ、より効果的な授業ができるように考える」
・「ICTを使った理想の授業を自由に考えてみる」

2回目はメンバーを替えてグループを組み、それぞれが1回目のグループで話したことを共有しました。数十分の多岐にわたる話を、簡潔にまとめて伝えることの難しさを実感しましたが、この活動がPadletをしっかり読み直すきっかけにもなりました。
1回目の内容について改めて考えることで、ふんわり頭に入っていた全体の流れや要点がはっきりし、次にすべきことや考えるポイントが見えてきたような気がしました。

2回にわたるグループワークは、各々の経験を共有し、新たな情報を提供し合える貴重な場となりました。

今回の研修会は、コロナ前、コロナ禍、そしてポストコロナ禍に行ってきた実践を時系列に振り返り、そのつながりを見つめ直すとともに、今後のICTの効果的な活用方法を考えるすてきなきっかけとなりました。
藤本先生、APJE役員のみなさま、参加者のみなさま、大変楽しく学びの多い有意義な研修会をどうもありがとうございました。対面、オンライン問わず、明日からの授業にさっそく取り入れてみたいと思える苗をたくさんいただきました。
教室や学習者のデジタル環境、学習者の学習動機・目的・ニーズや、一人ひとりのタイプにあった「肥やし」を上手に選びながら、すてきなお花をたくさん咲かせていきたいなと思います。

ナス広夏